「生分解性」と「コンポスト可能」は別の概念
まず用語を分けておくと、その後の判断がぶれません。生分解性は、微生物の作用によって最終的に分解される性質そのものを指します。コンポスト可能は、それに加えて「一定期間内に、特定の条件下で分解・崩壊し、堆肥として利用できる水準を満たすこと」を指します。
したがって「生分解性だからコンポストに出せる」とは言えません。逆も同様です。試験の条件と期間が異なるため、用途に対してどちらの性質を確認すべきかを先に決める必要があります。

日本の識別表示制度の位置づけ
日本では、生分解性プラスチックについて識別表示制度が運用されています。これは、生分解性に関するISO規格の試験基準と、環境適合性の審査基準を満たした製品にマークとその名称の使用を認める仕組みです。目的は、一般消費者に正しい理解を広め、適正な使用法と製品の普及を促すことにあります。
輸入実務の観点で重要なのは、これが「表示」に関する制度だという点です。製品そのものの品質を保証するというより、どの表示を名乗れるかを定めています。したがって確認すべきは「この製品は生分解性か」だけでなく、「この製品はこのマークを表示してよいか」になります。
関連する制度として、バイオマス由来度を示す識別表示や、海洋生分解性に関する表示もあります。これらは目的も審査基準も異なるため、混同しないよう区分して確認してください。
海外認証が意味する範囲
海外の供給元から提示される証明書として、しばしば次のような名称が登場します。
| 認証・制度 | 概要 | 日本の表示制度との関係 |
|---|---|---|
| BPI(米国) | 米国の生分解性製品に関する認証制度。ASTM規格群に基づく。 | 独自制度。取得済みでも、日本の識別表示を自動的に名乗れるわけではありません。 |
| DIN CERTCO(ドイツ) | 欧州のコンポスト可能性認証。EN 13432 等に基づく。 | 同上。根拠規格と審査主体が異なります。 |
| EN 13432 / ASTM D6400 | コンポスト可能性を評価する規格そのもの。 | 規格であり、表示制度ではありません。両者は層が違います。 |
よくある誤解:「BPI認証を取得しているから日本でも問題ない」という説明は正確ではありません。海外認証はその制度の下での適合を示すもので、日本の識別表示制度への適合を意味しません。日本のマーク表示を予定している場合は、国内制度に沿った確認が別途必要です。
制度の比較
三つの層を分けて理解すると整理しやすくなります。
| 層 | 例 | 確認すべきこと |
|---|---|---|
| 規格(試験の基準) | EN 13432、ASTM D6400、ISO の生分解性試験 | どの条件下で、どの期間で分解されることを前提としているか |
| 認証(適合の判定) | BPI、DIN CERTCO など | 対象製品の型番範囲、有効状態、発行者 |
| 表示(何を名乗れるか) | 日本の識別表示制度、各国のラベル制度 | その表示を名乗る要件を、この製品が満たすか |
輸入時に起きやすい混乱は、層をまたいで結論を出してしまうことです。「EN 13432 に適合している(規格の層)→ だから日本のマークを表示できる(表示の層)」という推論は成立しません。
業務用と家庭用の区分
コンポスト可能性の認証は、分解が想定される環境によって区分されることが一般的です。この違いは実務に直結します。
| 区分 | 想定環境 | 注意点 |
|---|---|---|
| 業務用(industrial) | 高温・高湿度で管理された産業コンポスト施設 | 家庭の庭先コンポストでの分解を保証するものではありません。 |
| 家庭用(home) | より低い温度の家庭用コンポスター | 要件が厳しく、対応製品は限られます。 |
「コンポスト可能」という表示だけでは、どちらの条件を指すか分かりません。最終的にどこで処理される想定かを確認したうえで、その区分の証拠を求めてください。
対象範囲の確認手順
- 証明書の本文ではなく対象一覧を見る — 認証は製品単位・型番単位で付与されることが多く、付属書やスコープに列挙された型番がすべてです。
- 型番を突き合わせる — 発注する製品の型番が、その一覧に含まれているかを確認します。同じ工場の別シリーズが自動的に含まれることはありません。
- 有効状態を確認する — 発行日と有効期限、失効していないかを確認します。
- 区分を確認する — 業務用か家庭用か、どの規格に基づくかを確認します。
- 表示予定を確認する — 日本のマークを表示する予定があるなら、国内制度に沿った確認を別途行います。
特に②の型番照合が最も見落とされやすい項目です。「同じ工場が作っている」ことは、その製品が認証範囲に含まれる根拠にはなりません。
Worldchamp の認証範囲
Worldchamp(HuiZhou Worldchamp Plastics Products Co., Ltd.)は、BPI の商業堆肥化に関する許諾ファイルを保有しています。ただしその適用範囲は限定的です。同ファイルの付属書に列挙されているのは、当社製造の WPP-GL001 手袋、および Planetgards ブランドの Medium・Large・X-Large の3つのSKUのみです。
したがって、このファイルを「全製品が認証対象」と読み替えることはできません。手袋の他の型番、袋類、その他の製品カテゴリは、このファイルの対象外です。個別製品の該当性は、必ず型番単位でご確認ください。
また、当社が保有するISO 9001:2015およびBRCGS Consumer Productsの認証は工場の管理システムに関するものであり、個別製品のコンポスト可能性や生分解性を証明するものではありません。三つの層(規格・認証・表示)を分けてご確認いただく必要があります。現在の証明書類は認証ページでご案内しています。
材料面の検討にはDIN CERTCO と BPI の比較、実際の分解挙動についてはコンポスト可能袋は本当に分解されるか、コスト面は輸送費の比較で詳しく扱っています。
調達の次のステップ
認証の確認は、発注後に判明すると手戻りが大きい項目です。サンプル段階で、用途(業務用か家庭用か)、仕向市場、表示予定の有無を確定しておくことをおすすめします。
「海外認証を持っているか」ではなく、「どの型番が、どの制度の、どの層を満たしているか」という聞き方をすると、必要な書類を早く特定できます。
よくある質問
生分解性プラマークとは何ですか?
生分解性プラマークは、日本の生分解性プラスチックに関する識別表示制度で、生分解性のISO規格に基づく試験基準と環境適合性の審査基準を満たした製品に使用が認められるマークです。一般消費者に正しい理解を広め、適正な使用と普及を目的としています。
BPIやDIN CERTCOがあれば日本でも問題ありませんか?
自動的にそうなるわけではありません。BPIやDIN CERTCOはそれぞれ独自の制度に基づく認証であり、日本の識別表示制度とは根拠も審査主体も異なります。日本のマーク表示を行いたい場合は、国内制度に沿った確認が別途必要です。
生分解性とコンポスト可能は同じ意味ですか?
同じではありません。生分解性は微生物によって分解される性質を指し、コンポスト可能はそれに加えて、一定期間内に特定の条件下で分解・崩壊し、堆肥として利用できる水準を満たすことを指します。試験条件と期間が異なるため、用途に応じて確認する項目も変わります。
認証の対象範囲はどう確認すればよいですか?
証明書の本文ではなく、対象製品の型番一覧(付属書・スコープ)を確認してください。認証は製品単位・型番単位で付与されることが多く、同じ工場の別製品や別シリーズが自動的に含まれるわけではありません。
家庭用コンポストと業務用コンポストの違いは何ですか?
分解が想定される条件が異なります。業務用は高温・高湿度で管理された施設を前提とし、家庭用はより低い温度の庭先コンポストを前提とします。業務用の認証は家庭用の分解を保証しないため、用途に合った区分を確認してください。
「環境省の制度」と「民間認証」はどう違いますか?
制度の性格が異なります。国の関与する識別表示制度は、表示の適正を保つための枠組みです。一方、民間の認証制度は、それぞれが定めた規格への適合を判定するものです。どちらも意味がありますが、何を保証しているのかが違うため、混ぜて説明しないことが重要です。
このガイドを調達手順に活用する
製品方針が明確になったら、Worldchamp に仕様をご相談ください。用途、仕向市場、数量、包装、必要資料の範囲をお知らせいただければ、次回の確認を具体的に進められます。
用途と必要資料の範囲をお知らせください
想定する処理環境、仕向市場、対象SKU、表示予定の有無を共有いただければ、確認すべき書類を特定したうえで対応します。認証名だけでなく、型番単位の該当性で回答します。